先日、仕事で大阪府の堺へ行った際、自分へのお土産に堺らしい食べ物を買って帰ることにしました。
隣の大阪市出身ながら堺にあまり詳しくない私ですが、そんな私でも堺名物として頭にぱっと浮かんだのが、くるみ餅とけし餅。
くるみ餅は大豆や枝豆の餡にくるんだお餅、けし餅はこし餡を求肥で包んで芥子の実を表面にたっぷりつけたお餅です。
食べたことはありませんでしたが、TVなどで見たことはありました。
安土桃山時代に茶の湯文化の拠点として栄えた町なので、茶の湯に用いるお菓子がそのまま名物になっているそうです。
(ちなみに、『堺』という地名は、摂津国、河内国、和泉国の「境(さかい)」にあったからだそうです。恥ずかしながら知りませんでした)
なので、くるみ餅とけし餅、それぞれのお店をネットで調べて購入することにしました。
かん袋さんでくるみ餅を、本家小嶋さんでけし餅を買った帰り、駅へ向かう途中、本家小嶋さんのすぐ近くで別のけし餅屋さんを見つけました。
しかも店名は「小島屋」(よく似ている)。
交差点を挟んでほぼ対角線上によく似た店名で同じ物を売るお店が2軒。
これは何か因縁があるのかと思い、ネットで調べてみると、以下の経緯があったよう。
- 本家小嶋さんが室町時代創業、小島屋さんが江戸時代前期創業
- もともとは本家小嶋さんが『小島屋』を名乗っていたものの、諸事情あり現在の小島屋さんに屋号を売却
- その後、以前の『小島屋』は紆余曲折を経て『本家小嶋』の屋号を名乗り現在に至る
よって、どちらがパクリとかそういうことではないようです。
本家小嶋さんは歴史が古いですが、歴史が浅いほう(とは言ってもこちらも老舗)の小島屋さんは昭和天皇がお買い上げなさったこともあるそう。
ではどちらが美味しいのか、両方買って食べ比べてみることにしました。
見た目はほとんど同じように見えますが、本家小嶋さんのほうが若干色が濃いように感じます。
触ってみると、本家小嶋さんは求肥が柔らかく中の餡の固さが伝わってきますが、反対に小島屋さんは求肥は本家小嶋さんに比べると若干固いものの、中の餡は本家小嶋さんに比べると柔らかいです。
食べてみると、本家小嶋さんは芥子の実の香りが強く、芥子の実の香ばしい香りが口から鼻に抜けますが、小島屋さんは芥子の実の香りが若干弱い印象。
ただ噛んでみると、小島屋さんは芥子の実が歯でプチプチ潰れる食感が心地よいですが、本家小嶋さんはプチプチ食感こそあるものの小島屋さんに比べると弱く感じました。
結論、どちらもそれぞれの良さがあって美味しく、甲乙つけられません。
【表 けし餅食べ比べまとめ】
※あくまで相対的な差であり、弱いほうもそれなりに香りや食感は強いです
項目 | 本家小嶋 | 小島屋 |
見た目 | 色が濃い | 色が薄い |
求肥 | 柔らかめ | 若干固め |
餡 | 若干固め | 柔らかめ |
香り | 芥子の実の香りが香ばしい | 芥子の実の香りは若干弱め |
食感 | 芥子の実のプチプチ感は若干弱め | 芥子の実のプチプチ感が心地よい |
味 | 美味しい | 美味しい |
香ばしい香りが素晴らしい本家小嶋さん、食感が素晴らしい小島屋さん。
おそらく、本家小嶋さんは小島屋さんより芥子の実をよく煎っているため、相対的に見た目の色が濃くて香りが強く、反対に小島屋さんは芥子の実の水分が本家小嶋さんより多いため、プチプチ食感が強いのだと思います。
よく煎ることで香りが強まるが、水分も抜けるため食感のプチプチ感は弱まる。
反対に煎りを浅くすると、プチプチ食感を強くできるが、香ばしさは少なくなる。
芥子の実の香ばしさと食感はトレードオフの関係なのだと感じました。
ちなみに、もう1種類のニッキについても、本家小嶋さんは「色濃いめ・求肥柔らかめ・餡固め・ニッキの香り強め」、小島屋さんは「色薄め・求肥固め・餡柔らかめ・ニッキの香り弱め」でした。
したがって、芥子の実の香ばしさ重視なら本家小嶋さん、プチプチ食感重視なら小島屋さんをチョイスするのが良さそうです。
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