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【ロイヤルリムジン】タクシー会社を解雇された600名が失業保険(基本手当)を貰えない理由とは?

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こちらの動画を観ながら読むとより読みやすいです

 

神戸の社会保険労務士・石川です。

今回は、昨今話題になったロイヤルリムジングループによる一時解雇で、なぜ雇用保険が貰えないのかについて解説します。

失業給付を貰えなかった理由

まず結論から言うと、そもそも失業給付(雇用保険の基本手当)の受給資格を満たしていないからなのです。

今回の経緯から説明すると・・・

2020年4月、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した東京のタクシー会社・ロイヤルリムジングループが営業を停止し、従業員約600人を解雇すると発表しました。

これは、休業手当を支払うよりも、解雇された従業員が雇用保険の給付を受けた方がよいという同社の判断に基づくものです。

たしかに、労働基準法に基づく平均賃金×60%の休業手当よりも、雇用保険のほうが賃金日額の最大80%も支給されますし、会社都合退職ということであれば、所定給付日数も自己都合退職より長くなります。

また、会社としても、休業手当の支払負担を減らすことができます。

しかし、東京労働局はこの解雇に対し、「雇用保険の受給要件を満たさない」という判断をしています。

ではなぜ受給要件を満たさなかったのかというと・・・

そもそも、皆さん勘違いされやすいのが、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付というのは、「会社を辞めた際に貰えるお金」ではなく、「失業して、働く能力と意欲があるのに次の就職先が見つからないなかで、頑張って求職活動をする人に対し、所得の一部を補償するお金」なのです。

今回のロイヤルリムジンのケースでは、完全回復した場合に再雇用する旨を会社が従業員に対し説明しています。

つまり、一定期間後の再雇用を約束している、実質的なレイオフ(再雇用を前提とした一時解雇)です。

雇用保険の受給資格を有する人とは、「現に元の会社と雇用に関する契約が完全に失効していて、積極的に求職活動をし、いつでも就職可能な環境にある人」のことです(雇用保険法4条2~3項・10条の2・15条5項)。

なので今回のケースでは、元の会社に早期に戻ることが約束された状態であり、積極的な求職活動ができない状態であるため、そもそもこの受給資格を満たさないのです。

第一、再雇用が決まっているのに失業給付を受けられるのであれば、日本中の企業がちょっとでも業績が悪くなったらすぐに従業員を解雇して失業給付を受給させて賃金の支払を免れ、業績が回復すれば再雇用し、その後も業績変動のたびに解雇→再雇用→解雇→再雇用・・・ということがまかり通ってしまい、雇用保険料をべらぼうに引き上げないと雇用保険制度が破綻してしまいます。

 

特例はある、だけど…

しかし、ここまでの説明を読んで、「いや、俺はかつて、似たような一時解雇のケースで失業給付をもらったことがあるよ」という人がいるかもしれません。

仰るとおり、もらえるケースもあります。

大規模な災害が発生した場合には、雇用保険の特例が設けられ、通常は雇用保険の受給資格を満たさない一時解雇や一時帰休の場合でも、特例として失業給付が貰えるケースがあります。

過去、東日本大震災や西日本豪雨、大規模な台風の際には、この特例が発動されましたが、今回のコロナショックでは、少なくとも現時点ではこの特例が発動されていないため、今回のロイヤルリムジンのケースでは特例の恩恵を受けることができず、結果的に失業給付を貰えなかったということになります。

個人的には、今回のコロナショックでも、災害時の特例を発動してもいいのではとも思いますが、今回のコロナショックでは、雇用調整助成金の拡充や持続化給付金などによって、企業の存続と雇用の維持を支援している手前、災害特例の発動はその方向性と矛盾してしまうことから、発動はないのではと予想しています。

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