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こちらの動画を観ながら読むとより読みやすいです
神戸の社会保険労務士・石川です。
シルク・ドゥ・ソレイユがコロナショックの影響で倒産危機、全スタッフの95%にあたる約4,700人を整理解雇するというニュースが報じられています。
日本でも、コロナショックによる企業の相次ぐ倒産・リストラが予想されます。
公庫を中心とした金融機関からの緊急融資・助成金などのセーフティネットを上手く活用し、なんとかこの危機を乗り越えましょう。
さて、今回は、2020年3月27日に成立し、4月1日から施行される改正労働基準法の賃金請求権の時効延長を踏まえ、企業がとるべき対策についてお話しします。
企業がやるべきことは3つ
改正の経緯と詳細は、前回の記事(リンクはこちら)で解説していますが、2020年の4月から労働基準法が改正され、賃金請求権の時効が従来の2年から3年に延長されます。
つまり、未払残業代など未払の賃金がある場合に、労働者が遡って請求できる期間が、過去2年分までだったのが、過去3年分まで延びたということです。
これ、「ウチは残業代を払うつもりがないけど、そんなの請求されたときだけ払えばいいんでしょ?」というものではなく、未払の期間に応じ、法定の遅延利息が加算されますし、裁判で付加金の支払を命じられた場合は、割増賃金など一部の未払賃金について最大倍額を支払わなければならなくなります。
なお、改正後の時効3年は「当面の間」という規定になっており、改正から5年後、すなわち2025年以降に状況をみて5年まで時効が延長されるかどうか検討される予定となっています。
未払賃金の有無チェックと速やかな清算を
この時効延長を踏まえ、
- 未払賃金がないかチェックし、
- 未払賃金があればできるだけ速やかに清算すること、
- 未払賃金が発生しない仕組みを構築すること
が企業を守る防御策となります。
未払になりやすいものとして特に多いのが残業代です。
残業代が未払になる主な原因としては、
- 今まで残業代が発生しているのを知っていながら支払っていない
- 固定残業代制を設けていて、実際の残業時間に対応する残業代が固定残業代を超えているのに支払っていない
- 給与計算ミス
- 勤怠管理がアバウト
- 残業代計算の基礎に算入すべき手当の参入漏れ
- 経営者に残業代を支払わなければならないという認識がない
の6つがあります。
このうち1の場合は、できるだけ速やかに支払いましょう。
2~6の場合は、おそらく現在これらに該当している意識はないと思います。
ですので、まずは過去の帳簿やデータをひっくり返して、ミス、賃金の算入漏れがないかチェックし、あればできるだけ速やかに清算しましょう。
特に5に関しては、基本給しか残業代の計算基礎になっていないとか、資格手当が算入漏れになっているなどのケースがあるので、電卓を叩いてチェックするのが良いでしょう。
今後未払が起こらない仕組みの構築
過去の未払賃金清算が終われば、今後も未払賃金が発生しないようにするために、給与計算ソフトなどの計算式修正や、勤怠管理ツールの導入による正確な勤務時間把握が大切になってきます。
たしかに、給与計算ソフトの導入や勤怠管理ツールは費用がかかるものもありますが、その分これまでかかっていた時間・手間・人件費を抑制できるので、総合的にみればコストの削減に繋がります。
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