神戸の社会保険労務士・石川です。
今回はこのブログでは珍しい、社労士試験の話をします。
社労士試験は労働・社会保険に関するさまざまな法律を、細かい論点まで把握しなければ突破できない試験ですが、多くの受験生の前に壁として立ちはだかるのが国民年金法と厚生年金保険法の年金2科目。
中でも、超頻出項目なのに超ややこしいのが「特別支給の老齢厚生年金」です。
特別支給の老齢厚生年金は、生年月日が一定の範囲内にある人限定で60~65歳までの間に支給される老齢厚生年金で、かつて老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳だったものが、法改正により現行の65歳となった際に経過措置として設けられたものです。
ここをマスターできれば合格がグッと近づくのですが、いかんせんこのややこしさたるや社労士試験のなかでも1、2を争う最強レベル!!!
下画像のとおり、定額部分と報酬比例部分が両方支給されるのか、報酬比例部分のみ支給されるのか、それぞれが何歳から支給開始されるのかが、生年月日が概ね2年異なるごとに1歳ずつ変わり、また男女で異なるのです。
あ~ややこしい・・・

(出所)日本年金機構HPより
丸暗記するのは至難の業です・・・
私も社労士受験生だった当時は、この特別支給の老齢厚生年金を覚えようと必死になりましたが、どうしても覚えることができませんでした。
なので、どうにかして暗記しなくても攻略する方法がないかテキストとにらめっこし続けていると、ある公式をひらめきました。
おかげで、この公式さえ覚えれば、特別支給の老齢厚生年金に関する問題は常に全問正解できるようになり、開業後の現在でも役に立っています。
今回は、その公式を披露したいと思います。
その公式とは・・・
【公式①】
- 生年月日の日付を直前の4月2日まで戻し、その和暦の年数(「昭和〇〇年」の〇〇部分)から、男性と2~4号厚生年金被保険者である女性は15、1号厚生年金被保険者である女性は20、特定警察員等は21を引く
- 1で求めた数字を2で割る
- 2で求めた数字が4以内の場合は【公式②】、4超の場合は【公式③】へ
【公式②】※公式①の解が4以下の場合
解を小数点以下四捨五入した数字が・・・
- 1→61歳から定額部分支給開始
- 2→62歳から定額部分支給開始
- 3→63歳から定額部分支給開始
- 4→64歳から定額部分支給開始
【公式③】※公式①の解が4超の場合
解を小数点以下四捨五入したあとに6を引いた数字が・・・
- 0以下→60歳から報酬比例部分支給開始
- 1→61歳から報酬比例部分支給開始
- 2→62歳から報酬比例部分支給開始
- 3→63歳から報酬比例部分支給開始
- 4→64歳から報酬比例部分支給開始
- 5以上→65歳から報酬比例部分支給開始
いかがでしょう?
かえってややこしいですか?
私はこの公式を編み出して以降、上の画像の数字を丸暗記しなくてよくなり、かつ問題にも絶対間違えないようになりました。
試しに過去問を解いてみましょう。
【問】平成24年 厚生年金保険法 第7問 ※一部改題しています
厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」につき、一般の男子及び女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)の支給開始年齢の読み替えに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(A)男子であって、昭和27年4月2日に生まれた者は、60歳以上に該当するに至ったときから報酬比例部分が支給される。
(B)男子であって、昭和23年4月1日に生まれた者は、64歳以上に該当するに至ったときから定額部分が支給される。
(C)女子であって、昭和33年4月2日に生まれた者は、61歳以上に該当するに至ったときから報酬比例部分が支給される。
(D)女子であって、昭和36年4月2日に生まれた者は、62歳以上に該当するに至ったときから報酬比例部分が支給される。
(E)女子であって、昭和25年4月1日に生まれた者は、63歳以上に該当するに至ったときから定額部分が支給される。
順番にみていくと・・・
(A)公式①の解は6、公式③より60歳から報酬比例部分支給開始 → 〇
(B)公式①の解は3.5、公式②より64歳から定額部分支給開始 → 〇
(C)公式①の解は6.5、公式③より61歳から報酬比例部分支給開始 → 〇
(D)公式①の解は8、公式③より62歳から報酬比例部分支給開始 → 〇
(E)公式①の解は2、公式②より62歳から定額部分支給開始 → ×
したがって、答えは(E)です。
上の公式①~③を使えば、どのパターンにも対応することができます。
よかったらご参考までに。
ただし、この公式に頼りすぎて、障害者の特例、長期加入者の特例、船員・坑内員の特例を忘れたらダメですよ!
これはわかりやすいと計算してみたのですが、
(E)25年-20=5
5÷2=2.5四捨五入→3
これで63歳となりませんか?
すみませんが、ご教示下さい。
コメントをいただきありがとうございます。
(E)も(B)同様、公式①のとおり、日付を「直前の4月2日」へ戻す必要があります。
したがって、(E)における「直前の4月2日」は「昭和24年4月2日」となり、(E)24年-20=4、4÷2=2→62歳から支給となります。
社労士試験ではこのような「日付のひっかけ」がありますので、問題文を注意して読まないとミスの素となってしまいます。
特に実際の本試験では、厚生年金保険法は後ろのほうの問題ですので、労総基準法&労働安全衛生法→労災保険法→・・・と前から順番に解いていった場合、長丁場の後半戦で集中力が途切れがちになり、このようなひっかけに引っ掛かりやすくなります。
おはようございます。
なるほど‼️笑
理解できました。
ご回答、ありがとうございました。