【派遣法改正】労使協定方式の採用に向けた賃金比較の方法

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こちらの動画を観ながら読むとより理解しやすいです

 

※文中の太字はリンクです。クリックするとページ移動します

 

派遣業の労務管理と各種手続に強い神戸の社会保険労務士・石川です。

2020年4月から労働者派遣法(以下:派遣法)が大改正されるのに伴い、派遣会社(派遣元)は派遣社員の待遇について、原則の「派遣先均等・均衡方式」または例外の「労使協定方式」のいずれかを選択する必要があります。

派遣会社としてはどちらを選ぶのが有利かというお話はこちらのYouTube動画や他の記事でお話しさせていただいておりますが、

今回は労使協定方式を採用しようとお考え、またはご検討されている派遣会社様向けに、法改正までにしなければならないことのうち、おそらく最も難しいであろう賃金比較についてご説明します。

労使協定方式の採用に向けた賃金比較の方法

賃金比較は何と何を比較するのか?

上の動画でもお話したとおり、今般における派遣法改正の目的の1つに、「派遣労働者の同一労働同一賃金実現」というものがあり、この記事でご説明する賃金比較も派遣労働者の同一労働同一賃金を実現するためのプロセスです。

労使協定方式の場合、現在における派遣労働者の賃金について、一般的な正社員との均等・均衡がとれるようにしなければなりません。

具体的には、派遣労働者の賃金を、その職種と経験値に基づき、厚生労働省による基準賃金額と照らし合わせ、基準賃金額以上にする必要があります。

 

基準賃金額とは?

厚生労働省による基準賃金額とは、同省が下の1または2に、地域指数を掛け合わせたものです。

  1. 賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)
  2. 職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)

この1と2は、同省が職業安定局長通達という形で発表しているもので、どちらも、厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金について」サイトに掲載されていますので、リンクからご参照ください(サイトへはコチラ)。

1と2は毎年改定され、2020年度は平成30年度の統計を使用します(毎年、2年前の統計に基づく金額と比較します)。

2つのうちどちらと比較するかは、その職種など個々の状況に応じて、労使で協議して決めることになりますが、私見としては、1よりも2のほうが職種が多いため、ほとんどの場合は2を採用したほうがいいと思います(1は職種が少ないため、該当する適切な業種が見つからないことが多いと思います)。

では、2つの資料をそれぞれ見ていきましょう。

2つの資料

平成30年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算) 

職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)

どちらも国の統計に基づき、職種ごとに正社員の平均的な賃金額を時給換算したものが並んでいます。

基準値というものは経験値ゼロの場合における賃金額です。

基準値の右には、「1年」「2年」「3年」「5年」「10年」「20年」と数字が並んでいます。

これは、正社員としてそれぞれの年数、経験を積んでいった場合の平均的な賃金額として、基準値に一定の係数が掛けられた賃金額が並んでいます。

この中から、派遣労働者の職種・経験に合わせて賃金額をピックアップすることとなりますが、表の賃金額はあくまでも、「正社員として経験を積んでいった場合」なので、派遣労働者の賃金と比較する場合においては、たとえば、派遣社員として3年経験したので、表から3年の額を選ばなければならないということではありません。

週2~3日勤務・経験3年の派遣社員と、フルタイムで経験3年の正社員の経験値が同じというのは通常ないと思います。

したがって、賃金比較をするにあたっては、自社の派遣社員の就業時間・日数などを勘案し、経験値が一般的な正社員の何年に相当するのかを労使で協議して決定します。

 

地域指数とは?

上の資料1または2から適切な賃金額をピックアップすると、次はその数字に派遣先ごとの地域指数を掛け合わせて、比較する賃金額を算出します。

この地域係数も、厚生労働省の「派遣労働者の同一労働同一賃金について」サイトに掲載されていますので、リンクからご参照ください(リンクはコチラ)。

平成30年度職業安定業務統計による地域指数

※東日本

※西日本

全国平均を100として、各都道府県の賃金額の実情を反映した指数が並んでいます。

この地域指数には、上画像のように都道府県ごとのものもありますが、ファイルをスクロールするとハローワークごとのもののも並んでいます。

都道府県ごとのもの、ハローワークごとのもの、どちらを採用しても構いません。

どちらにするかは労使で話し合って決めることになります。

試しに計算してみると、経験値2年相当の研究者で、派遣先兵庫県神戸市灘区の場合、都道府県地域指数を採用すれば、

資料2より1,577円×兵庫県101.8/100≒1,606円

ハローワーク別地域指数を採用すれば、

資料2より1,577円×兵庫県106.8/100≒1,677円

となります。

 

その他の手当

通勤手当が支給されている場合、上の賃金額に72円(1時間あたり・2020年度適用分)、退職手当が支給されている場合はその年数などに応じた額を加算します。

 

賃金比較ツールを使うと便利

これまでさまざまな説明をしましたが、これらの比較は厚生労働省が提供している「賃金比較ツール」を使用すると便利です。

このツールは厚生労働省の不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)サイトにダウンロードリンクがあります(サイトへはこちら)。

一般労働者と派遣労働者の賃金比較ツール(令和2年度適用版)

実際にツールを開くと、

このような感じの画面が開きます。

左半分に現在の派遣労働者の経験値や賃金情報を入力し、

右半分で業種・採用する資料(統計情報)・地域などの情報を選択して、職種や通勤手当等の有無(支給される場合は「実費支給なし」を選択)を選択して右上の「一般賃金を自動計算」ボタンをクリックすると、

比較対象となる基準賃金額が算出されます。このとき、左半分の合計額(下図の赤丸)と右半分の合計額(下図の青丸)とを比較し、「赤丸<青丸」となっていれば、「赤丸≧青丸」となるよう赤丸の額を引き上げなければなりません。

最初から「赤丸≧青丸」となっていれば、労使協定方式を採用するにあたって特に引き上げ等の必要はありません。

ツールの詳しい使い方は、操作手順書をお読みください。

賃金比較ツールの操作手順書

賃金を比較した結果をもとに、2020年4月~2021年3月の賃金を労使で話し合って決め、労使協定に落とし込みましょう。

未だ法改正対応への着手が進んでいない派遣会社様は、早急に対応しなければなりません。

「まだ着手が進んでいない」や「当社の対応が適切か意見が聞きたい」という派遣会社様は、弊所HPお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください(全国対応)。

 

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