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戦隊ヒーローから学ぶ労働基準法入門

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こちらの動画を観ながら読むとより理解しやすいです

 

神戸の社会保険労務士・石川です。

今回は、労働基準法による規制と手続をわかりやすくお伝えするために、いわゆる戦隊モノを題材にしながら、どの場面でどういった手続が必要になるのか、またどういった規制を受けることになるのかを解説しようと思います。

戦隊ヒーローから学ぶ労働基準法入門

ヒーローに労働条件を明示しよう

戦隊モノでよくあるシーンとして、何気ない日常を過ごしていた青年(のちのレッド?)が、街中で遭遇した怪獣による破壊事件を目にし、さまざまな因果(この因果はシリーズによって変わります)により正規軍の大元からヒーローとして変身できる術を授かり、ヒーローとなって怪獣と対峙するシーンがあります。

このとき、正規軍の大元と青年との間には労働契約が成立しますので、企業としては、雇用契約書または労働条件通知書などによって労働条件を明示しなければなりません(15条1項)。

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

このとき明示しなければならない事項は、以下のとおりです。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所・従事する業務の内容
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は交替などに関する事項
  4. 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
  5. 解雇の事由を含め退職に関する事項
  6. 昇給に関する事項
  7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
  8. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
  9. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
  10. 安全・衛生に関する事項
  11. 職業訓練に関する事項
  12. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  13. 表彰、制裁に関する事項
  14. 休職に関する事項

このうち、1~5は必ず書面で明示しなければなりません。

また、1~6は必ず明示しなければならず、7~14はその制度がある場合のみ明示する必要があります。

 

ヒーローたちとの間で36協定を締結しよう

ヒーローはいつ悪者が襲ってくるかわからない状況下で常に戦闘にほぼ24時間備えなければならなりません。

いつ戦闘を起こさなければならないかわからない状況下での待機は、労働基準法上、休憩時間ではなく労働時間のと解釈されますので、ヒーロー年はほぼ24時間労働することとなり、法定労働時間の原則1日8時間および1週40時間を超えて労働することとなります。

そこで、正規軍の大元は、36協定をヒーローたち従業員側との間で締結し、労働基準監督署へ届け出ないと原則1日8時間および1週40時間を超えて労働させることができません(36条)。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
○2 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)
三 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
四 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
五 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
○3 前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
○4 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。
○5 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。
○6 使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。
一 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと。
二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 百時間未満であること。
三 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 八十時間を超えないこと。
○7 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。
○8 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
○9 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
○10 前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。
○11 第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。

また、1日8時間、1週40時間を超えて労働させた場合、22:00~5:00の深夜労働をさせた場合、法定休日労働をさせた場合に割増賃金を支払う必要があります(37条)。

  • 1日8時間超、1週40時間超:25%
  • 深夜労働:25%
  • 法定休日:35%(to従業員)
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
○2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
○3 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
○4 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
○5 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 

ヒーローは3交代のシフト制にしよう

36協定を締結すれば無制限に残業させていいわけではありません。

36協定によって延長できる残業時間の上限は原則月45時間、年360時間となっており、TVに映るヒーローにように、24時間365日勤務をさせることはできません(36条3・4項)。

ただ、ヒーローは街と地球の平和を守るため24時間365日いつでも変身できるようにするため、現実的には8時間×3交代のシフト制にする必要があります。

(時間外及び休日の労働)36条
○3 前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
○4 前項の限度時間(36協定で延長できる限度時間)は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。

残業時間を増やすと従業員の健康障害を引き起こすおそれがあるほか、人件費も増加するため、24時間操業の事業所では3交代制などで適切な労務管理を行いましょう。

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