↑↑↑
上の動画を聞きながら読むとわかりやすいです。
社会保険労務士の石川です。
労働基準監督署の調査はある日突然やってきます。
正直ビビらない経営者はいないはず?
そんな労働基準監督署の調査、労働基準監督署はどのようにして調査対象企業を決めているのでしょうか?
その決定プロセスを解説します。
労働基準監督署が調査対象企業を選定する基準
これがすべてというわけではありませんし、これに該当していなければ調査は来ないということではありませんが、労働基準監督署は、以下の要素を勘案して調査対象企業を選定しています。
- 企業の規模
- 特定の業種や特定の人材を雇用している
- 自主点検表の未提出企業や記載内容がおかしい
- 重篤な労働災害が発生した
- 労働者からの申告(通報)があった
以下で1つずつ解説します。
企業の規模
やはり中小企業より大企業のほうが調査対象となりやすいです。
その理由として、
- 労働基準監督署で調査を行う労働基準監督官の人手が足りないなか、従業員数の少ない中小企業数社を調査是正するよりも、従業員数の多い企業1社を調査是正したほうが一度でより多くの労働者にかかる労働条件を改善できる(効率がいい)
- 大企業を是正するとニュースなどでとりあげられるため、社会に対する労働条件改善啓発効果が高い
というのがあります。
では中小企業には調査が入らないのかというとそういうことではありません。
中小企業にも頻繁に調査は入っていますし、実際に悪質な違反の場合には企業が送検されたり経営者が逮捕・送検されたりしています。
※労働基準監督官には警察官と同じように被疑者を逮捕し送検する権限があります
特定の業種や特定の人材を雇用している
これについては、都道府県労働局が毎年度「行政運営方針」という資料のなかで、調査是正を重点注力する業種などを公表しています。
たとえば弊所のある兵庫県で2019年度の場合、
- 特定技能や技能実習その他で外国人を雇用している企業
- 運送業やタクシー業など自動車運転業務の企業
- 障がい者(障碍者、障害者)を雇用している企業
- 介護福祉事業の企業
- 労働者派遣業の企業
を挙げています。
行政運営方針は各都道府県労働局のHPで公表されています。
2019年度の兵庫労働局では挙げられていませんが、その他に調査を受けやすい業種として建設業と製造業があります。
どちらも、人手不足のため長時間労働が生じやすいこと、労災事故が発生しやすいこと、安全衛生に関する規制が厳しいことがその理由です。
自主点検表の未提出企業や記載内容がおかしい
労働基準監督署は管内における一部の企業に対し、「長時間労働の抑制に関する自主点検表」というものを送付し、回収しています。
労働基準監督署はこの自主点検表の内容をもとに調査対象とするか否かを判断しています。
- 記載内容が法令違反
- 記載内容の数値がやけに良すぎる(嘘の疑いあり)
- 自主点検表を提出しない(自主点検表には通し番号がふってあるため未提出企業はすぐバレる)
という企業は調査対象になりやすくなります。
重篤な労働災害が発生した
大怪我や死亡事故など重篤な労災事故が発生した場合、労働安全衛生法や労働基準法に違反している可能性が高いため、調査が行われます。
労働者からの申告(通報)があった
労働者から労働基準監督署への申告(通報)によっても調査が行われます。
この申告による調査は年間およそ22,000件行われています(平成28年労働基準監督年報)。
ですので、普段からこのような申告(通報)があってもいいよう日頃から労務管理体制をきちんと整備しておきましょう。
コメント