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年金はアテにならない?老後に向けてすべきこと

社労士いしかわです。

ここ最近、社会保険労務士としての仕事やYouTube動画作成が忙しく、ブログの更新をサボってしまっていました・・・
※労働保険料(労災保険料&雇用保険料)確定申告(通称「年度更新」と呼ばれます)、健康保険と厚生年金保険の等級改定のための書類(「算定基礎届」といいます)作成・届出、労働者派遣業の事業報告書(労働者派遣業者が年に1回、提出を義務付けられている書類。これを出さないと労働者派遣業の許可を取り消される可能性も・・・)など、社会保険労務士が企業に代わって行うさまざまな事務手続がこの時期に集中しているため、6~7月が社会保険労務士の繁忙期となります。

今日は年金のお話です。

最近、「年金制度が崩壊するんじゃないか?」とか、

老後2,000万円問題」などさまざまなニュースが流れ、

皆さん、特に20~30代の若い皆さんは、

自分たちは将来年金がもらえるのだろうか?」とか、

老後に備えて何をしておけばいいの?」など、

年金にかなりの不安を抱いているのではないでしょうか?

今回は、社労士いしかわが、年金の専門家・社会保険労務士として、これらの問題について簡単に解説してみます。

 

結論

 

  • 年金制度はなくならない
  • ただし、マクロ経済スライドの拡大により将来は年金額が減少するかも
  • したがって、若いうちから、投資や副業などにより老後に備えた資産形成を図ることが大切

 

年金制度がなくならない理由

 

「年金制度がなくならない」と言い切れる理由にはさまざまな理由があるのですが、

最も大きな理由はマクロ経済スライドがあるからです。

年金に関するニュース・記事・政治家の発言などでたびたび見聞きするマクロ経済スライド、

すっごーく簡単に説明すると、

将来の年金財政ために、現在の高齢者に支払われる年金額を少しずつカットするシステムです。

マクロ経済スライドのしくみ

年金は、物価や賃金の伸びに応じて毎年改定するのですが、

  • 保険料支払世代(だいたい20~60代)の減少(少子高齢化)による保険料収入の低下
  • 平均余命の伸びによる1人あたりの生涯における年金支払(支出)の増加

による将来的な年金財政の悪化を考慮して、

インフレ時における増加分の全部or一部をカットします。

これ以上の説明は数理的になってしまうため、このあたりで留めますが、

要は、将来のために、現在の受給世代(高齢者)にちょっと我慢してもらう仕組みです。

ちなみに、今年度(2019年度)は史上2度目のマクロ経済スライド発動年度となっています(初めての発動は2015年度)。

年金には、将来の財政悪化に備えた仕組みがあるのです。

 

マクロ経済スライドはデフレ下での発動も必要

 

とはいえ、現状のマクロ経済スライドにも限界があります。

現在の年金は、過去の積立金を取り崩して支払われているのですが、

学習院大学・鈴木亘教授の試算によれば、

現状のマクロ経済スライドを発動し続けていっても、

厚生年金は2033年、国民年金は2037年に枯渇するといわれています。

現状のままでは、年金財政はかなり危ない状況です。

ですので、政府・与党内には、このマクロ経済スライドを現状のインフレ時だけでなく、デフレ時においても発動できるよう法改正すべきだという声が強くあります。

おそらく今後の年金財政を考えると、「デフレ下でも発動」は避けられません。

デフレ下でも発動されるようになると、年金財政はかなり改善できるため、年金制度の崩壊は免れることができます。

 

老後に備えた資産形成を

 

ただ、マクロ経済スライドが発動されると、年金額は削減されてしまうため、

国民一人ひとりが若いうちから老後資金作りを始めていくことが必要です。

「長年保険料を納めてきたのに、年金だけで生活できないなんて詐欺じゃねーか!」

という声も聴こえそうですが、

そもそも、年金は老後の生活資金すべてを賄う制度設計にはなっていません。

あくまで老後資金のだいたい半分以上を補助する制度です。

平成16年改正 国民年金法・厚生年金保険法附則

第二条 国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、第一号に掲げる額と第二号に掲げる額とを合算して得た額の第三号に掲げる額に対する比率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする。

一 当該年度における国民年金法による老齢基礎年金の額(当該年度において六十五歳に達し、かつ、保険料納付済期間の月数が四百八十である受給権者について計算される額とする。)を当該年度の前年度までの標準報酬平均額(厚生年金保険法第四十三条の二第一項第二号イに規定する標準報酬平均額をいう。)の推移を勘案して調整した額を十二で除して得た額に二を乗じて得た額に相当する額

二 当該年度における厚生年金保険法による老齢厚生年金の額(当該年度の前年度における男子である同法による被保険者(次号において「男子被保険者」という。)の平均的な標準報酬額(同法による標準報酬月額と標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額をいう。次号において同じ。)に相当する額に当該年度の前年度に属する月の標準報酬月額又は標準賞与額に係る再評価率(同法第四十三条第一項に規定する再評価率をいい、当該年度に六十五歳に達する受給権者に適用されるものとする。)を乗じて得た額を平均標準報酬額とし、被保険者期間の月数を四百八十として同項の規定の例により計算した額とする。)を十二で除して得た額に相当する額

三 当該年度の前年度における男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額

2 政府は、第一条の規定による改正後の国民年金法第四条の三第一項の規定による国民年金事業に関する財政の現況及び見通し又は第七条の規定による改正後の厚生年金保険法第二条の四第一項の規定による厚生年金保険事業に関する財政の現況及び見通しの作成に当たり、次の財政の現況及び見通しが作成されるまでの間に前項に規定する比率が百分の五十を下回ることが見込まれる場合には、同項の規定の趣旨にのっとり、第一条の規定による改正後の国民年金法第十六条の二第一項又は第七条の規定による改正後の厚生年金保険法第三十四条第一項に規定する調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講ずるものとする。

3 政府は、前項の措置を講ずる場合には、給付及び費用負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずるものとする。

この附則が言わんとしていることは、

年金額は、法律上のモデル世帯(20~60歳まで厚生年金に加入し続け、平均的な給料を貰い続けてきた夫と、20~60歳までずっと専業主婦で夫の扶養に入っていた妻)が受け取る年金額は、厚生年金に加入している男性の平均給与額の50%以上を確保できるようにするというものです。

年金は、もともと老後の生活費の概ね50~60%程度を補助するものに過ぎず、最近になって急に減ったわけではありません。

ですので、「老後において概ね2,000万円不足するため、自助努力により老後の資産形成を図っておくことが重要」という金融庁の報告書の内容は、年金制度のモデルを踏まえたうえで、昔から言われていたことを改めて問題提起したに過ぎないのです。

よって最近見かける「年金返せ!!」「年金は詐欺」「年金制度崩壊」と宣う人々の主張はナンセンスです。

話が少し脱線してしまいましたが、

要は、老後資金は年金だけでは足りないので、投資・貯蓄・保険・副業などで老後資金を確保しておくことが大切なのです。

 

最後にYouTube動画

 

今回のブログ内容について、要点のみ簡単に解説しています。

3分台の短い動画ですので、ぜひご覧ください。

最後に余談ですが・・・

  • 国民年金(老齢基礎年金)は年金額の半額を国が負担してくれる
  • 民間保険と違い、年金保険料などの社会保険料は支払った全額が所得税額控除上の所得控除(社会保険料控除)に算入できる

など年金にはメリットが大きいので、年金保険料はきちんと支払った方が良いですよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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