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世界一わかりやすい!キャリアアップ助成金講座

社労士いしかわです。

前々回のブログ「廃業時の社会保険手続き」でお話した、来週廃業される知り合いから、
「涙が出るくらい嬉しかった」

とのお言葉をいただきました。

半分以上は彼女のために書いたあの記事を読んでもらえ、こんなに素晴らしい感想をいただけて、書いた甲斐があったと思います。

慈悲と隣人愛に溢れた聖人君子のいしかわらしい、また社労士らしい、労いとはなむけのメッセージを贈ることができたでしょうか。
さて、今回は助成金のお話です。

社労士が手掛ける雇用保険の助成金はおよそ20種類60コースほどあります。

そうです、めっちゃ多いんです。

そのすべてを紹介するのは大変なので、この記事では最も代表的ともいえるキャリアアップ助成金について、各コースの内容・支給額・支給申請の流れなどを簡単にご説明します。

 

キャリアアップ助成金の概要と7つのコース

キャリアアップ助成金を一言で説明すると、

非正規雇用従業員を正社員化したり、処遇改善したりした企業に支給される助成金です。
1事業所が1年度に貰える最大の支給額は・・・なな、なんと1,278万円!!

雇用保険の助成金は補助金と違い、要件を満たしてきちんと申請すれば全員に支給されます。

2019年6月現在、キャリアアップ助成金には7つのコースがあります。

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 健康診断制度コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度共通化コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース

このうち、最もスタンダードなのは1の正社員化コースです。

2~7については申請件数そのものが多くありません(確たる統計はないものの、兵庫労働局助成金デスクの方が仰っていました)。

支給要件の概要は後述しますが、2~7のコースにおける要件に取り組もうとする企業そのものが少ないことが原因だと思います。

そのため、以下では比較的1にバイアスをかけて説明し、2~7では簡単な概要だけご説明します。

最もスタンダードな正社員化コースとは?

有期雇用従業員などの非正規従業員を正社員化させた事業主や、派遣労働者を直接雇用した派遣先事業主に支給されます。

支給額

支給額は状況や企業規模により異なり、

  1. 有期雇用→正規雇用 中小企業57万円<72万>/人 大企業42.75万円<54万円>/人
  2. 有期雇用→無期雇用 中小企業28.5万円<36万>/人 大企業21.375万円<27万円>/人
  3. 無期雇用→正規雇用 中小企業28.5万円<36万>/人 大企業21.375万円<27万円>/人

※<>内は生産性要件適用時(生産性要件については後述)以下同様
となっています。

なお、派遣先事業主が派遣労働者を直接雇用した場合や、正社員化した従業員が母子家庭の母など一定の要件に該当する場合には金額が加算されます(派遣労働者の直接雇用は1,3のみ)。

この加算要件は複数該当の場合にもそれぞれ加算されるため、1人あたり最大で132万円となります。
※生産性要件を満たす派遣先中小企業が勤務地・職務限定正社員制度を策定し、派遣労働者である母子家庭の母を勤務地・職務限定正社員として直接雇用した場合

受給までの流れ

大まかな申請・受給スケジュールはこのような感じです。

  1. キャリアアップ計画書を作成し・労働局へ提出
  2. 就業規則・労働協約に正社員等への転換制度を規定
  3. 6ヶ月以上その会社で勤務している非正規社員等を、1の計画書で設定した期間(最大5年)内に正社員等へ転換
  4. 転換後6ヶ月目の賃金支払日から2ヶ月以内に申請
  5. 労働局にて審査(6ヶ月程度)
  6. 受給

したがって、受給までに

すでに6ヶ月以上勤務している非正規雇用従業員がいる場合で助成金の支給を狙う場合、少なくとも1年ちょっと、イチから対象従業員を雇用する場合で少なくとも1年半ちょっとかかります。

雇用「保険」とはいえ、国が預かるお金を貰おうするわけですから、長い目で手続を行っていくことが必要です。

その他の要件

正社員化コースにはその他にも支給要件があり、主なものだと、

  • 事業主が雇用保険に加入していること
  • 対象従業員を、雇用保険に加入(被保険者資格取得)すべきタイミングで加入させていること(非正規雇用期間中、雇用保険の被保険者要件に該当しないのであれば加入していなくても良いが、労働時間などの関係で雇用保険に加入させなければならないのであれば加入しておかなければならない。正社員等へ転換した際は必須加入)
  • 正社員等へ転換後、賃金が5%以上増額していること(賞与を含めて5%UPでもOK。ただし基本給などの手当額や時間単価が下がっているのはNG)
  • 対象従業員が事業主や取締役の3親等内親族でないこと
  • 正社員等転換日の半年前から半年後までの1年間において、解雇などの会社都合退職がない事業所であること
  • 支給申請前年度までに労働保険料の未納がないこと
  • 支給申請日前日までの1年間に労働基準法など労働関係法令の違反がないこと

などがあります。

その他6つのコースとは?

正社員化コース以外の6コースについて、簡単に概要を説明します。

賃金規定等改定コース

  • 全職種一斉・雇用形態別・職種別など、賃金規定などを2%以上増額改定することにより、実際に非正規雇用従業員の基本給を2%以上増額させた場合に支給
  • 支給額は改定の範囲や方法により3.325~564万円

 

健康診断制度コース

  • 労働安全衛生法上健康診断の実施が義務でない一部の非正規雇用従業員(労働時間が一般正社員の3/4未満である非正規従業員など)を対象に、法定外の健康診断制度を新しく就業規則などに規定し、健康診断をのべ4人以上実施した事業主に支給
  • 支給額:中小企業38万円<48万円> 大企業28.5万円<36万円>

 

賃金規定等共通化コース

  • 賃金規定などを新たに改定し、同一労働同一賃金の賃金テーブルを作成・適用した事業主に支給
  • 支給額:中小企業57万円<72万円> 大企業42.75万円<54万円>

 

諸手当制度共通化コース

  • 賃金規定などを新たに改定し、賞与や家族手当など一部の手当について同一労働同一賃金を実現・適用した事業主に支給
  • 支給額:中小企業38万円<48万円> 大企業28.5万円<36万円>

 

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

  • 本来社会保険(健康保険・厚生年金保険)の対象でない一部の非正規雇用従業員を、基本給を増額させることにより事業所ごと一斉に社会保険へ加入させた事業主に支給
  • 支給額は基本給の増額割合に応じて2.2~747万円

 

短時間労働者労働時間延長コース

  • 短時間労働者の所定労働時間を延長させて一定の要件に該当した場合に、事業主へ支給
  • 支給額は延長時間などに応じて3.4~1,278万円

正社員化コース・その他のコースともに、要件や支給額の詳細は厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」でご確認するか、助成金の専門家である社会保険労務士にお問い合わせください。

決算内容しだいで支給額UP!「生産性要件」とは?

キャリアアップ助成金に限らず、多くの雇用保険助成金では、事業所の決算内容(財務指標の伸び率)により支給額がボーナス加算されます。

その式は、

(営業利益+人件費+減価償却費+動産不動産賃借料+租税公課)÷決算期末時点での雇用保険被保険者数

です。

この数値が、支給申請日における直近の決算年度と、その3期前の決算年度と(たとえば、3月決算の企業が2019年9月1日に支給申請した場合、2019年3月期と2016年3月期)を比較し、

  • 6%以上上昇している
  • 1%以上6%未満の上昇で、取引金融機関から「この会社は問題ないですよ」という規定様式書面による評価を貰える

と、支給額がボーナス加算されます。

計算式を見るとおわかりいただけると思いますが、営業減益だからといって必ずしも要件に該当しないわけではありません

減益要因が人件費など特定の要因である場合、要件を満たせることもあります

私が以前助成金を手がけた企業では、3期前営業黒字→直近期営業赤字でも要件に該当したので、ボーナス加算された助成金が支給されていました。

ただし、その他の細かい要件があるため、生産性要件に該当しているかどうかを確かめる際には、専門家である社会保険労務士にお問い合わせください。
【弊所お問い合わせ窓口】

  • メール:info@kobesannomiyasr.com
  • 電話:078-252-2055 (代表)
  • 営業時間:平日9:00~17:00

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※この記事は、支給の可否および支給額を保証するものではありません。助成金の詳細は各都道府県労働局または社会保険労務士へお問い合わせください。
※支給額は公開日時点のものです。
※巷では助成金支給申請代行を謳う業者がいますが、社会保険労務士以外の者が報酬を得て助成金の支給申請を代行するのは犯罪です(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。

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コメント

  1. 世界一わかりやすい!大変すばらしいタイトルです、大変わかりやすいですね、特にスタンダードな正社員化コース。
    これはすごく使いやすいと思います。中小企業の方たちにわかりやすくアドバイスが出来そうです。

    • お褒めいただきありがとうございます!
      助成金・社会保険・税制に関する行政官庁からの案内文書って、どうも解りづらくて・・・専門家で解りづらいのだから、一般の方々ならもっと解りづらいのでは?と思い、今回解りやすい内容を意識して書いてみました。
      仰るとおりで、特にキャリアアップ助成金の正社員化は数ある助成金のなかで最も使いやすいです。どの従業員の方でも対象にできるので。
      中小企業の経営者様にご提案されるようなことがあればぜひご活用ください。支給申請も代行します。内容などに関しご不明な点があればいつでも私のメールアドレス(info@kobesannomiyasr.com)まで遠慮なくご連絡ください。

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